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高野山の旅と、かたくりの花

アート書道教室で講師をしている玲彩(れいさい)です。

4月後半に、弘法大師空海ゆかりの和歌山県・高野山へ行ってきました。真言宗の総本山である金剛峯寺、信仰の中心地・壇上伽藍、そして奥之院を訪れました。

書道といえば、弘法大師空海!

「弘法も筆の誤り」ということわざが示すように、空海と書道の深いつながりはよく知られていますね。

簡単にご紹介すると、空海は奈良時代末から平安時代初期にかけて遣唐使として唐へ渡り、密教を学びました。当初は20年かけて学ぶつもりでしたが、その稀有な才能によってわずか3年で習得してしまいます。帰国後、密教をより広めるために建立したのが、高野山の金剛峯寺です。

高野山には、弘法大師が今もなお瞑想を続けていると伝わる奥之院があります。今回はそちらでご挨拶させていただくとともに、壇上伽藍にて密教の教えを肌で感じてまいりました。

さて、空海が唐から持ち帰った「飛白(ひはく)」は、筆のかすれによって文字の中に白い筋が生まれる、絵画的で躍動感あふれる特殊な書法です。

代表作『飛白十如是(ひはくじゅうにょぜ)』は、空海の真筆と伝わる作品で、仏教の深遠な教えである「十如是」の概念をダイナミックな飛白体で表現しています。

空海の作品には、自然界の生き物を描き込んだものが多く見られます。「文字と自然を一つの生命として見ていた」とも解説されていますが、空海は単なる「字の上手い人」ではなく、「文字そのものに命や宇宙を見ていた人」でした。

真言密教では、

  • 音(真言)
  • 形(文字)
  • 意味(こころ)

これら全てが一つにつながっていると考えられています。だから空海にとって「書」とは、単なる記録ではなく、祈りであり、エネルギーであり、宇宙との接続だったのです。

私が取り組んでいるアート書道も、筆を持って練習するだけでなく、自然や文化的な教養からも影響を受けています。レッスンのカリキュラムも、そこにヒントを得た構成になっています。

季節の花々や動物の持つ曲線を学ぶことで、筆遣い(運筆)を楽しく、飽きることなく練習できます。そのような練習が、点や線を書く技術の自然な向上につながり、植物や動物と文字を組み合わせることで、一つの作品としての創作スタイルを実現しています。

できあがった作品を自宅に飾り、日々眺めることで、書をより楽しめる空間が生まれるよう、テーマを考えてレッスンを組み立てています。

話を最初に戻すと、今回の旅のもう一つの目玉が、神野々寺院跡の訪問でした。奈良時代の古代寺院跡であり、弘法大師ゆかりの「水の聖地」として歴史的にも重要な場所です。

この地には、不思議なエピソードを持つ3種類のお水がいただける温泉施設があります。

  • 金水:岩肌を通って二重ろ過された無菌の地下水
  • 銀水:地下1,187メートルから湧き出す、35億年前の太古の化石水と言われる温泉水
  • 銅水:3番目に湧き出た地下水で、他の物質や水同士の「結びつき」を強くする力があるとされる

高野山で修行された僧侶の方々も、この温泉に入りに来るそうです。

今回持ち帰ったこの3種類をブレンドしたお水で、皆さんに墨を擦っていただきました。心なしか、弘法大師が乗り移ったかのような美しい線が書けるようになったかどうか……それはご本人の判断にお任せするとして(笑)。

最後に、最近のレッスン内容をご紹介しますね。

3か月かけて仕上げた「かたくりの花」の作品は、次のように進めました。

  • 2月:かたくりの花の絵を練習
  • 3月:「かたくりの花」のひらがなを、連綿を意識して練習
  • 4月:色紙に絵と文字を合わせて書き、名前と落款を押して仕上げ

皆さんそれぞれ個性豊かな仕上がりで、とても素晴らしい出来栄えでした!弘法大師も微笑んでくれそうだなぁ〜と、私も豊かな気持ちになれました。

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